BANKARA’S MUSIC
皆さんこんにちは!
バンショー企画も第一弾が終了し、現在は次のステージに向けて準備中です。
新しく動き出すその前に……今回から、バンショー企画曲の制作秘話を座談会形式でお届けします!
1回目の本日は、「企画テーマ曲について」お喋りしました。
どうぞごゆるりとお楽しみ頂ければ幸いです!
~登場人物紹介~
fukashi
【作曲・編曲担当】
主にボーカロイド楽曲を制作している鹿。
バンショー企画では、楽曲・動画制作の他
神鹿隊 秋鹿大尉のキャラクター設定を担当しています。
千田さん
【ミックス・マスタリング・ギター・ベース担当】
歌も楽器も編集作業も何でもこなす。
4人組バンド「カカシカシカカ」ではボーカル&アコギを担当していますが、
バンショー企画ではエレキ&ベース演奏の他、ミックス・マスタリングを担当。
お菓子とお昼寝が大好き。
飯野さん
【バイオリン担当】
千田さんと同じく「カカシカシカカ」のメンバーで、
ギターもバイオリンも華麗にこなす。
バンショー企画曲にて、その優雅なバイオリンをお楽しみ頂けます!
ゲームとラーメンが大好き。
トークテーマ
「企画テーマ曲について」
≪fukashi≫えーっと……では、企画テーマ曲から振り返りましょうか。
≪千田≫はい!
≪fukashi≫まず、曲の第一印象はどうでしたか?
≪千田≫前半はハリウッド映画のような、壮大な印象です。
後半は「反旗を翻してお祭り騒ぎしてやろうぜ!」という感じ。
性格が違って面白いなと思いながら聴いていました。
↑企画テーマ曲の編集画面
≪fukashi≫ありがとうございます!
前半は戦いに身を置いた人間のドラマを、後半は企画全体を象徴する曲になるよう作りました。
≪千田≫企画の動画では、各少尉のドラマパートに前半部分を使用していましたね。
※1 ワウペダル(Wah pedal)というエフェクターのこと。
ペダルを操作することで聴感上強調される周波数帯が変わり、「わうわう」と言っているように聴こえます。
≪fukashi≫そうですね。
実は、当初はこのような曲を作る予定は無かったんです。イラストTEAMと打ち合わせをして、動画の内容が固まっていく中で、fukashiから提案させて頂いたものでした。
後半部分がメインテーマですが、少尉達の動画では活躍させられなかったので……
今後の企画内でどんどん使っていきたいですね~。
≪千田≫後半部分は、演奏していて楽しかったですよ。
≪fukashi≫千田さんには、ギターとベースを弾いて頂きましたね!
演奏に関してはどうでしたか?
≪千田≫デモの段階でギターもベースもしっかり入っていましたので、ほとんどそれに従った感じです。
ギターに関しては、ワウ(※1)を使う指定があったのでファンキーに。
ベースは、指定されたメロディラインに遊びを加える感じです。
≪fukashi≫なるほど。
実は、この曲のベースが凄く好きだと言ってくれる人がいたんですよ。耳に残る演奏になったということですね!
≪千田≫それは嬉しい!ありがとうございます!
≪fukashi≫ギターに関して、演奏面以外でこだわった部分などありますか?
≪千田≫うーん……ワウを左右に振ってランダム性を出したところですかね。どんどん自由に参加して盛り上がっていく感じを出したかったので。
※2 楽曲を構成する音一つ一つのバランスを整える作業のこと。作編曲者の音楽的意図を最大限伝える為に必要不可欠で、耳の良さと音楽センスが問われる作業です。
≪fukashi≫企画の趣旨そのものですね!「やってやろうぜ」という熱気が伝わってきました。
では、ミックス(※2)についてはどうでしたか?
≪千田≫ガラリと雰囲気の変わる曲ですので、『静』と『動』を意識しました。
綺麗にまとめるというよりダイナミクスを押し出したいと、色々頑張りましたよ。
≪fukashi≫前半から後半へ移る部分など、聴き手を引き込めるように試行錯誤しましたね!
前半部分では、特に気を付けた部分などありますか?
※3 reverberation(リバーブレーション)のことで、残響を意味しています。お風呂で声を出した時に気持ち良く響く、アレです。
≪千田≫リクエストされたからというのもありますが、リバーブ(※3)は相当気にしましたね。
出だしの弦楽器やカッサ(大太鼓)の音の余韻は、慎重に扱わないと世界観を壊してしまう。演奏している場所の奥行きや天井の高さを意識しながらの作業でした。
≪fukashi≫そうですね〜。時間をかけた記憶があります。
※4 音階や強弱、音色の変化やリズム等のデータを入力する作業のこと。予め録音された音源がそのデータに合わせて発音します。
fukashiの作曲作業は、主にこの「打ち込み」になります。
≪千田≫打ち込み(※4)音源に元々入っている残響音があって、場合によってはそれが邪魔になることがあるんです。当然ながら、この曲を想定して音を録った訳では無いですからね。そこを調整していきました。
≪fukashi≫では、そんなオーケストラの中で特に気になった箇所などありますか?
≪千田≫曲中、たった4音だけ演奏して去っていくパートがありまして……フレンチホルンなんですけど、それが良い味を出してました。
最初にデータをもらった時「え、これだけ!?」と驚いて確認したくらい短いフレーズでしたね。
↑フレンチホルンさんの魂の4音
≪fukashi≫あぁ確かに(笑)
作った際はそんなに気にしていなかったのですが、かなり渋い職人みたいなパートになりました。
≪千田≫いやぁ、相当なプレッシャーの中であの4音を吹いてると思いますよ。
実際のオーケストラでは、1曲の中で演奏する量に関わらず全員一律のギャラだったと記憶していますので……
≪fukashi≫うぅむ……そうですね……。
聴いてくださる皆様も、是非ともフレンチホルンに耳を傾けてみてください!ちなみに26秒〜で登場します。
では、続いてバイオリンについて。この曲に限らず、演奏前の印象はどうでしたか?
≪飯野≫どの曲も表情が豊かだったので、すぐにイメージが湧きました。
それぞれの曲の場面や様子を想像しながら演奏するのが楽しかったです。
≪fukashi≫おお!楽しんで頂けたなら何よりです。
レコーディングの際は、千田さんにセッティングもお任せしましたね。
≪千田≫飯野は、自分がフロントを務めるバンドのメンバーですから、レコーディングの段階でどうすれば良い音が取れるかある程度分かっていました。太いけど品のある、キリっとした音を目指してレコーディングしましたね。
≪fukashi≫仰る通りの音になったと思います!
fukashiとしては、初めて生バイオリンを入れて頂いた記念すべき曲となりました。
打ち込み音源との調和がどうなるか不安でしたが、レコーディングで気を付けた分、問題無く進んだ印象です。
≪千田≫そうですね。
生音(※5)の良さは言わずもがなですが、「とりあえず全部生音にすればいい」とは言えないんですよね。周りが打ち込みだからこそ、ソロバイオリンの音がグッと際立って意味のあるものになった。
※5 打ち込み音源ではなく、実際に奏者に演奏してもらった
フレーズのこと。
≪fukashi≫バイオリンに限ったことではないですが、演奏者の個性が強く出ますよね。
レコーディング前にfukashiが伝えたイメージを、飯野さんが一度自分の中に落とし込んでから演奏として形にしてくれる。生身の奏者を通すからこその強いメッセージ性が、今回はとても良い方向に働いたと思います。
≪千田≫うんうん。
打ち込みはどんなフレーズを弾かせても均一で、扱いやすいけどキャラが立ち辛い。そこを逆手に取れた感じなのかな。
≪fukashi≫打ち込みを主体に曲作りをしているfukashiとしては、今後の課題とも言えますね。
では、そうして出来上がった企画テーマ曲を、美麗なイラストと共にお楽しみください!