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BANKARA’S MUSIC

皆さんこんにちは!

バンショー企画曲の制作秘話を座談会形式でお届けする連載
3回目の本日は、「子犬丸少尉に捧げる、止マヌ雨ト鉄について」お喋りです。

​引き続き、ごゆるりとお楽しみください!

​~登場人物紹介~

fukashi

【作曲・編曲担当】

主にボーカロイド楽曲を制作している鹿。
バンショー企画では、楽曲・動画制作の他
神鹿隊 秋鹿大尉のキャラクター設定を担当しています。

​千田さん

【ミックス・マスタリング・ギター・ベース担当】
歌も楽器も編集作業も何でもこなす。
4人組バンド「カカシカシカカ」ではボーカル&アコギを担当していますが、
バンショー企画ではエレキ&ベース演奏の他、ミックス・マスタリングを担当。
お菓子とお昼寝が大好き。

トークテーマ

「子犬丸少尉に捧げる、止マヌ雨ト鉄について」

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≪fukashi≫さあ、今回は「止マヌ雨ト鉄」について振り返りましょう!
まずは、デモをどう聴きましたか?

≪千田≫ギターもベースも弾いてくれとの要望でしたので、どうアプローチするかを考えながら聴きました。
決められていた曲タイトルからもイメージが沸いたし、求められているものもすぐに分かりましたよ。
だから、最初に想定したプレイと完成版はほぼ変わらないですね。

≪fukashi≫毎回、デモを聴いてすぐに何パターンか提案してくれるので、そのスピード感に助けられてます!
では、曲の印象はどうでした?

≪千田≫物語性がある曲だな、という感じですね。
頭の中に浮かんできたイメージは、漆黒の森を駆ける戦士です。
どんどん森の深部へ入っていくような……ちょっと危うい感じ。

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≪fukashi≫これ以上行くと戻れなくなりそう……だけど進むしかない、みたいな?

↑楽曲制作&動画編集画面

≪千田≫そんな感じ。

≪fukashi≫作曲するにあたって、子犬丸の狂気的な面も出そうと意識してました。伝わったのは嬉しいですね。
今回はギターとベースを弾いて頂きましたが……まずギターに関して、曲全体でどういったことを意識しましたか?

≪千田≫「狼の遠吠えを想起させるように」という指示があったので、そこは意識しましたね。
あとは、戦う獣のうなりやがなりを表現できるよう工夫しました。

≪fukashi≫子犬丸は白狼隊の少尉ですから、狼のイメージは外せないところでした。

非常に上手く表現されてます!
AメロはギターVS三味線という構図でしたね。ギターソロは「メロディを弾かずに、攻撃的に」とかなり難しいリクエストをしましたが……どうでしたか?

≪千田≫普段やらないプレイではありますが、色々考えて最終的に自分の好きなとこに落ち着いた感じですね。
ハンマリングとプリング奏法(※1)を大量に使用して『奇抜なモノ』を、という意識で弾きました。

≪fukashi≫弾いている姿がカッコよかったですね。

※1 ギター奏法の一つ。ハンマリングは、ハンマーのように弦に指を叩きつけて鳴らす奏法。プリングは、弦に指を引っかけて鳴らす奏法です。

≪千田≫ふふ、ありがとうございます。

あとは、生きるか死ぬかという戦場に在って不安定な心や、劣勢だとしても噛みついてやろうという反骨精神をディミニッシュスケール(※2)で表現しました。

≪fukashi≫なるほど。リクエスト通り、鬼気迫るソロに仕上がりましたよね!
ではサビはどうでしょう?

※2 詳しく説明すると長くなるので、「何だかちょっと不安になるような音階」だと思って頂ければ。

≪千田≫メタルだけどクラシカル、を念頭に置きました。
最初にプレゼンしたフレーズが、かっこいいけど何かイマイチで……。
二人で悩みながらハッピーターンを食べてた時、ふいに口ずさんだ「ハッピータ〜ン♪」のメロディがハマったんだよね。

≪fukashi≫そうでしたね〜。
こんな熱い曲でお菓子の名前を叫んでいるなんて……かなりシュールだったと思います。
でも楽しかったですね!

≪千田≫そうですね(笑)
出だしのハッピーターン部分が決まってからは早かったように思います。

≪fukashi≫確かに。結果として、一直線に突き抜けていくような素敵なサビになりましたね!
では、続いてベースはどうでしょうか?

≪千田≫最初にもらったデモには打ち込みのベースが入っていて、そのイメージに寄り添った感じですね。
大きく悩むことは無かったです。

≪fukashi≫ベースの打ち合わせはすんなり終わりましたね。
「それいいね!」「それもカッコいいね!」を連呼していた気がします。

≪千田≫ありがとうございます!
自分のバンドではギターボーカルですが、元々はベーシストだったので……その経験が活きました。

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≪fukashi≫本当に器用ですよね~。
では、演奏で特にこだわった部分などはありますか?

≪千田≫ドラムのキメに合わせてドライブ感を出したり、アンサンブルの隙間を見て高低差のあるアプローチをしたり……といったところですかね。
オーケストラが居るので、通常のバンドとはまた違った役割を持たせる必要がありました。

≪fukashi≫なるほど。

≪千田≫ミックス前の段階では、実はベースの主張がかなり強いフレーズなんですよ。
それが、最終的には地を這うように蠢くベースになりました。

≪fukashi≫コントラバスやチェロがいる中でも存在感のあるベースになりましたね。
ミックスで音が整理されていくことで、各パートに躍動感が出ました。
では、そんなミックス作業についてはどうでしたか?

≪千田≫オーケストラの扱いには毎度悩まされますね。
自分自身、今までオーケストラの一員として演奏した経験が無い分、作曲者の意図を汲んだり聞き手に没入感を与える為に苦労しました。

≪fukashi≫fukashiの曲では毎回苦労をかけています……。
この曲は、他の企画曲には無い『バンドサウンド』が特徴ですが、その辺りはどうでした?

≪千田≫ギターとベースに関しては、フレーズ作成の段階で既に明確な音のイメージがあったので、難しくはなかったですよ。

≪fukashi≫音のイメージは、最初からしっかりありましたよね!
ギター・ベースと違い、ドラムは私の打ち込みでした。ミックス時は『海外ドラマーのようなパワフルさ』をリクエストしましたが、そちらはどうでした?

≪千田≫音を太く、強く……だけどダイナミクスを失わないように気を付けました。
打ち込みと生音では空気感から違うので、大変ではありましたね。

≪fukashi≫スネアを打ち抜く感じや、叩いた直後にシンバルが揺れる状態等、細かくリクエストしましたもんね。
大変なことながら、しっかり応えてくだってありがたいです。

≪千田≫いえいえ!
この曲では特に、ドラムは場面転換の重要な役割をしています。
和楽器の雅な旋律から、バンドインして一気に加速する部分など。そこで、スネアにより深いリバーブをかけるプレゼンをしたんです。音の支配力が高く印象的になりますが、その分音のイメージが変わるので……難色を示されるかな、とも思ったんですが、それが案外あっさり通りました。

≪fukashi≫出だしのスネアが、しっかり意志のある音になったと思ったんですよ。流石です。
ドラムに限ったことでは無いですが、リバーブやディレイ(※3)に関してはかなり細かく注文しました。作業に立ち会える時は良いですが、コロナの影響もあってリモートでの作業もありましたから、その辺りのストレスはあったかと思います。でも最終的に、とても綺麗にまとまりましたね!

※3 やまびこのように、遅れて跳ね返ってくる音のことです。

≪千田≫そうですね、最後の最後まで粘りました!
fukashiの曲は各パート全員がフォワードというか、強いんですよね。だから、それぞれの特色を最大限に活かせるよう気を遣いました。

≪fukashi≫いやぁ……本当に頼もしい限りです。
こちらの意図を汲んでリクエストに応えるだけでなく、違う視点から提案をしてくれる。クリエイティブなやり取りができて、とにかく楽しく勉強になりました!

やはり、作曲とミックスは切り離せません。

≪千田≫そうですね〜。
ミックスというものは、イラストで例えると線画に色を付ける作業と一緒だと思っています。曲のキャラクターを大きく左右するし、作曲者の個性を生かしも殺しもする。責任重大です。

≪fukashi≫確かに。
作曲者としても、ミックス時の作業を念頭に置いて曲作りに挑みますし、ミックス作業中はコミュニケーションを取りながら責任を持って「良い」「悪い」の判断を下します。
まだまだひよっ子な分、苦しさやもどかしさはありますが……

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↑ミックス作業で活躍する機材たち

≪千田≫日々勉強ですよね。でも、曲作りしてるな〜って楽しくなります。

≪fukashi≫そうですね!
では、マスタリング(※4)はどうでしたか?

※4 CDやインターネット上などの最終的なメディアに書き出す為に、音量・音質・音圧を調整する作業。

ミックス作業で作り上げたバランスを崩さないまま、最適な状態で聴いて頂く為の作業です。

≪千田≫パート数が多い分、ミックスの段階でとことん詰めていましたから……マスタリングではミックスの良いところを出して、鬼気迫る臨場感を出せるように頑張りました。

≪fukashi≫そなるほど。
納得いくまで粘った結果、聞き手に訴えかける音になったと思います。

≪千田≫物語性が強くて感情を剥き出しにする曲作りは、fukashiのオハコなんじゃないでしょうか?
今回は、和のテイストがありつつ、だけど完全に和に染まらない……異分子が混ざっている緊張感と、そこから突き抜けていく展開が絶妙。fukashiの良さを出せたと思います。

≪fukashi≫ありがとうございます!
では、そうして出来上がった止マヌ雨ト鉄を、白狼隊のキャラクター紹介と共にお楽しみください!

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